見捨てられた氷河期世代。そして生まれた様々な問題。

就職氷河期世代

前回は

「就職氷河期の概要と企業を救った労働者派遣法の規制緩和」について書かせていただきました。

まだ読まれていない方は>>こちらも目を通していただけると嬉しいです。

今回は

・規制緩和で氷河期世代はどうなった?

・政府が規制緩和に舵を切ったもう一つの理由

・氷河期世代が救済されない事で起きた社会への影響

 について、氷河期世代の僕が解説させていただきます!

規制緩和で倒産を免れる企業。派遣で働く氷河期世代は・・・

企業が労働者の派遣を利用する事で、人手不足はとりあえず解消されていきました。

企業側から見れば、派遣労働者は直接雇用しているわけではないので雇用を守らなければならないという拘束はほぼありません。

業績が振るわなくなって人件費を削減するとなった時、真っ先に白羽の矢が立つのが派遣労働者なのです。

「派遣切り」 なんて言葉を耳にした事がある方は多いと思います。

後に起こるリーマンショックで派遣労働者は突然収入を失い、これからどうやって生活すればいいのかという崖っぷちに立たされるのです。

当時の派遣労働者は昇給もなく「いつクビになってもおかしくない」という不安を抱えながら、それでも生きるために企業や派遣会社に頼らざる負えないという立場でした。

労働者派遣法の規制緩和でをしたのは派遣で人材不足を解消できた企業と、紹介料で潤った派遣会社で、氷河期世代の若者たちは救われたとはとても言い難い状況だったという事です。

リスクがあるのになぜ?政府が派遣法の規制緩和に舵を切った理由

多くの若者が苦しい立場になると、ある程度予想はできたはずなのになぜ政府は派遣法の規制緩和に踏み切ったのでしょうか?

その理由の一つは、派遣労働の規制緩和は世界的な潮流だったからです。

派遣労働を規制する事は国際労働機関(ILO)と結んだ条約に違反するため日本政府は諸外国から規制緩和を求められていました。

企業側からの人材不足解消の求めも重なり、リスクがあると解っていながらも、労働者派遣法は1996年から段階的に規制緩和されていきました。

1999年に事実上自由化され、2004年に製造業への派遣が可能となってしまいました。

後にこの製造業へ派遣された多くの労働者が「派遣切り」の対象となってしまったのです。

少子化の原因は氷河期世代?

現在の日本において、氷河期世代は団塊の世代に次いで2番目に人口の多い世代です。

この世代が非正規雇用で低収入となった事で、結婚や出産のペースは一気にブレーキがかかり少子高齢化は急激に加速していきました。

政府が早い段階で氷河期世代の救済に力を入れていれば、この問題は回避できたはずです。
しかし残念な事に約20年もの間、何の救済措置もとられる事はありませんでした。

完全に見捨てられた状態だったのです。

結果的にこの少子化は企業の人手不足を生みました。

経済が持ち直してきた事もあり、新卒の就職活動の難易度は大幅に軽減したのです。

一方企業側は人材の争奪戦となり、人件費高騰の懸念が生まれました。

そのため安く人件費を抑えるべく外国人労働者の採用が増えているのです。

移民の受け入れが本格化するのも、そう遠い未来ではないのかもしれません。

あらためて、氷河期世代とは

お解りいただけたと思いますが、氷河期世代は他の世代と比べて

「自己責任で低収入」でもなければ
「努力や能力が不足している」わけでもありません。

社会に出るタイミングで不運にも大不況が訪れ、救済措置もなく、政府に見て見ぬふりをされたまま現在まで必死に生き抜いてきた世代なのです。

氷河期世代の大多数は、他の世代にとって当たり前のようなことも手にする事ができませんでした。

非正規雇用で労働時間が長くても低収入、不安定なためお付き合いしている人がいても結婚に踏み切れない。

仮に結婚できたとしても、経済的不安から子供を授かる事を諦める。

仕事においては、中途で正社員になれたとしても出世は見込めなかったり、新卒の後輩が上司になったりと、ただ「氷河期世代」だっただけで苦しい思いをした例はいくらでもあります。

その結果精神を病んで働く事も、生きる事すらできなくなった人も、少なからずいるのです。

このブログを書いている僕も、以前精神を病み、約一年の間働く事ができない状況に陥った事があります。

死にたいと思った事も、何度もありました。

それでも「辛いばかりの人生のまま、終わりたくない」という想いで必死にもがき、時間はかかりましたが、なんとか社会復帰をする事ができました。

今生きている事が本当にありがたく、奇跡的な事だと思っております。

幸せになるための努力をすれば
氷河期世代だろうとなんだろうと、幸せな生活は手に入るはずです。

ただ、努力の方向を間違うと、なかなかうまくいきません。

このブログでは、僕の得てきた知識をどんどん公開していきますので、ぜひとも役立てていただけたら嬉しく思います。

本日のまとめ

・派遣法の規制緩和で、派遣労働者の多くは派遣切りにあった

・政府が規制緩和したのは、企業救済と国際労働機関の条約を守るため

・氷河期世代が家庭を持てず、少子高齢化が一気に加速

次回は

「生まれつつある第2の氷河期世代についてお伝えしたいと思います。

次の記事>>第2の氷河期世代

前の記事>>氷河期世代ってなんですか?

>>棄民世代 政府に見捨てられた氷河期世代が日本を滅ぼす (SB新書) [ 藤田 孝典 ]

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